友人に勧められて、東中野ポレポレという小さな映画館で、人生フルーツというドキュメンタリー映画を見てきました。
90才の津端修一さんと奥様、英子さんのていねいで豊かな暮らしぶりが描かれています。
修一さんは大学卒業後、レーモンド設計事務所勤務を経て、日本住宅公団で住宅団地計画に携わりました。
元々の雑木林を残し、風が通る街並みを計画しても、当時の経済優先の壁に阻まれ、今も各地に残る無機質なかまぼこ型の集合住宅が並ぶ団地になりました。
修一さんは、自ら手がけた高蔵寺ニュータウンに300坪の土地を購入し、家を建て苗木を植え、雑木林を作ろうとしました。
多くの建築家は都市に住みたがるもの、なんて皮肉もおっしゃり、ご自身は郊外の大規模団地に寄り添おうと決めたのです。
それから、50年。
家の周りの木々は見上げるほど高くなり、落ち葉の腐葉土で肥えた畑にはたくさんの野菜や果実が収穫されます。
一軒一軒の家が木々を育てることで街並み全体が里山の中にある住宅のようになる、という発想なんだそうです。
地元の小学校を巻き込んでハゲ山にどんぐりを植えるプロジェクトも大成功。
こんな方が地域にいたら、どんどん良い循環ができそうです。
奥様もとても素晴らしい女性です。
とにかく修一さんがしたいことを実現できるように支える、身体に良い食事を丁寧に作る、手間を惜しまずコツコツとやる、という姿勢を貫いていらっしゃいました。
私はこの映画で初めてご夫妻を知りましたが、複数の著書もあり、自給自足のようなスローライフに憧れる人にとっては、有名な方みたいです。
修一さんは、最後に理想を叶えられるようなプロジェクトに参画できるのですが…
人生はだんだん美しくなる
年を重ねることをどうしても後向きに考えてしまうけど、とても素敵なメッセージが伝わってきました。
人生フルーツか~
果実が実るような晩年は無理だけど、夫婦仲良く、年取れたら良いなぁ~と思いました。
まだナビ派の展覧会から受けた強い印象から抜け出せずに描いた人生フルーツ。
私の人生、秋だなぁ~って。
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